今日の川上さん ミシン

サロアル革職人の川上です!今日は「ミシン」のお話しをさせていただきます。 実は最近、工房に最新のコンピューターを搭載したミシンがやって来たんです!その素晴らしさに毎日ワクワクしながら革と向き合っています。

電動ミシンと足踏み式ミシン

導入した電動ミシンは、非常に高性能です。コンピューターを内蔵したハイテク機能の数々に驚くばかりです。コンピューターにより、縫う場所にあわせてベストな返しができるよう設定もできます。 私は足踏み式のミシン歴も長いのですが、針先の位置を微調整しながら、より丁寧なステッチにしたいときは、この手と足の感覚で縫うことができる足踏み式に軍配が上がると感じています。 一方で、電動ミシンはというと、やはりスピードがあり、作業効率をアップできる点が素晴らしいです。ただ、モーターによっては、縫い進めるときに走り過ぎを抑えにくいので、微調整が難しいです。双方に、適材適所の使い方があるので、この電動ミシンにさらに慣れていこうと思います!

当たり前を大切に

ミシンは素材を組み合わせる道具です。パーツの組み合わせをいかに美しく、そして頑強に仕上げるかが完成度の良し悪しを左右します。一針、そして次の一針と、続いていく縫い合わせが、信頼できる商品を生み出す鍵を握っています。縫う前のパーツの合わせ方から、糸留めの仕上げの処理まで、気を抜くことはできません。 ここでの些細な油断は、ほつれの原因となったり、見た目の出来栄えを大きく左右します。この意識は自身の更なるレベルアップのために欠かせません。 更に緊張感が必要なのが、柔らかいファーと固い革という異なる性質を持つ2つの生地の縫い合わせです。この場合、ファーが革を滑べらせてしまうため特に集中が必要です。手足の感覚を研ぎ澄ませ、針先と素材との感触を確かめながら慎重に進めていきます。

職人のカンは忘れない

どんなに優れたミシンでも、その能力を引き出すのは職人の腕です。 ミシンは更なる進化を遂げ、更に高性能なものが登場するでしょう。だとしても、細部では使い手の技量が大切ですから、職人の意地を懸けて適応していく必要があります。そして、ミシンはあくまで「手段」。完成までをイメージしながら、本当に必要な調整を施すことができるのは作り手です。「職人のカン」がものを言うところです。 ミシンの音と共に、そのカンをしっかり連動させるように、常に心に留めておくようにしたいと思っています。