サロアル革職人の川上です。私が実際に使っている革切り包丁を基に、一部ではありますが、その使い方や難しさを解説していきます。 1 よく切れる、疲れにくい 使用するときは刃の手前は浮かせ、奥を革に当てて裁断していきます。革切り包丁はコンパクトなので腕の力を革へしっかりと伝えることができ、たくさん裁断しても疲労感が少ないです。実は裁断のみならず、革の厚みを薄くする(漉く - すく - )ためにも使えます! 2 持ち方と姿勢がものをいう 金型での裁断は垂直に刃が入るため、裁断面は常に安定しています。一方、手断ちの場合、持ち方や姿勢によって断面の角度やラインが微妙に変わってしまうため、それらを安定させるにはかなりの経験が必要になります。特に狙った通りの滑らかな曲線を裁断するには、高い技術が必要です。 3 砥いで使うと愛着がわく 最近では替刃式のカッターを使って手断ちするケースもあるようですが、刃を砥いで繰り返し使うという、大事に使う感が個人的に好きです。(笑) 野球のバットやサッカーのシューズのように、道具に愛着があると、そういう思い入れが仕事の良し悪しにつながると考えています。 革切り包丁はシンプル過ぎて、言ってしまえば「あたり前の道具」なのですが、シンプル故に奥が深く、難しい、そして職人らしさを真っすぐ感じさせるところが、私は「とても粋だな!」と思っています。だからこそ、革職人として極めていきたい、その気持ちを大切にこれからも更なる研鑽を続けていこうと思います!